ストーリー
モンスターの戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。
人類が各地の再建を計る中、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務に挑み、巨大怪獣の故郷<ルーツ>の手がかりを掴もうとする。そんな中、ゴジラが深海の暗闇からその姿を現し、フロリダにあるハイテク企業エイペックス社を襲撃、世界を再び危機へと陥れていく。ゴジラ怒りの原因は何なのか。
エイペックス社CEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)はゴジラの脅威を訴える。モナークとエイペックスは対抗措置として、ネイサン・リンド博士(アレキサンダー・スカルスガルド)やアイリーン博士(レベッカ・ホール)のチームを中心に、コングを髑髏島<スカルアイランド>から連れ出し、怪獣のルーツとなる場所を探ろうとする。
人類の生き残りをかけた争いは、ゴジラ対コングという最強対決を引き起こし、人々は史上最大の激突を目にすることとなる。
故郷を求めるコングと唯一心を通わせる少女ジア。一方、ゴジラを信じ、その真意を探ろうとするマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)と級友のジョシュ(ジュリアン・デニソン)、そしてエイペックスの陰謀説を唱えるバーニー(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は行動を共にゴジラを追う。
人類になす術はないのか―。
エイペックスの研究員で故芹沢猪四郎博士の息子である芹沢蓮(小栗旬)の秘めた想いや目的とは?
怪獣を取り巻く人間たちの思惑が錯綜する。ゴジラとコング、彼らは人類の味方か、人類の脅威か。自然界最強の力の衝突する、地球の存亡を委ねた壮大な戦いが始まった。
彼らはなぜ戦うのか―。
果たして、この頂上決戦の勝者は―。
目次
ゴジラvsコングを徹底考察レビュー
ずっとレビューを書きたかった『ゴジラvs.コング』!!
公開されてから割と早い段階で鑑賞していたにも関わらず、今まで記事を書けずにいました。なぜならゴジラは、この世界中で1番好きなキャラクターと言ってもいいくらい、子供の頃から◯十年間ずっと大好きな存在。もはや片想いに近いような笑。
そんな大好きなゴジラのハリウッド版超大作、好きが過ぎて逆に記事に着手できず今の今まで来てしまったのですが、いよいよ公開も終了した今日この頃、ついに自分を奮い立たせ、このレビューを書き始めました。
書くからには忖度なしに、良かった所も悪かった所も、全て徹底的に評価していきます!
なおネタバレなしとネタバレあり、両方レビューいたしましたので、もう既に観られた方も、レンタル開始を心待ちにしている方も、最後までお付き合いいただければ幸いです!
ゴジラvsコングのネタバレなしレビュー
この『ゴジラvsコング』は、モンスターヴァースシリーズの第4作目にして、日本が誇るキャラクターであるゴジラが出演する最後の作品と言われております(この辺りは今後の流れ次第では変わる可能性もあり?個人的には続いて欲しい)。
そしてそのゴジラの有終の美を飾るのに相応しい対戦相手として、アメリカが誇るキャラクターであるキングコングとの夢のマッチが実現しているのです。
さて、これはあくまで私の私見になりますが、この手の【巨大生物が所狭しと大暴れ!大立ち回りをとくとご覧あれ!】系の映画は、とにかく派手に、ドカーン!バーン!とやるのが1番であります。
ちっちゃい事〜は気にすんなッそれワカ◯◯ワカ◯◯🎶
まさにコレに尽きます。
今回のこの『ゴジラvsコング』、その点においては素晴らしい。まさに理想通り。
「え?待ってそんな事ある?」「え?待ってなんでそんな事になってんの?」
なんて、そんなナンセンスな事は考えちゃあいけません!
いいんです!これでいいんです!
だってゴジラをはじめ、キングコングとか、宇宙怪獣(モンスターヴァースの世界では怪獣をタイタンと呼びますが、敢えて怪獣と呼ばせていただきます)とか、普通に闊歩してる世界です。我々の小さな常識なんて、通用しなくて当たり前なんです!
そもそもメインを張る主演怪獣が1体の場合は、怪獣の描写の他に、背景描写や人間パートその他をじっくりと描く余裕があるでしょうが(ギャレゴジなんかはその余裕をもってして、なかなかゴジラを映さない演出で話題になりましたね)、今回の様に主役級のキャラクターが2体、それも対等に出てくるとなると、その2体の描写に大概の時間が割かれるので、本来他の説明や人間ドラマパートなんて、描く時間はほとんど無いはずなんですよ。
今回のこの『ゴジラvsコング』でも、シリーズ化されているからこその続投している登場人物達の物語の他に、新たに登場したキャラクター達、新たに追加された設定など、怪獣パート以外にもかなり頑張って盛り込まれていたけれど、正直、その全てを2時間弱で満足に描き切る事はほぼ不可能。ていうか絶対無理。
だからと言って、シリーズならではの繋がりを丸投げしてやらないでもなく、怪獣達の見せ場を削るでもなく、本当にギリギリまで、主役の怪獣2体と、その他のドラマとのバランスに悩んだんだろうなぁ、頑張ったんだろうなぁ、というのが素直な印象です。
だからね、もうちょっとやそっとの無理矢理感は、まぁ大目に見ようじゃないの。
こちとら大好きな怪獣達を観に行ってるんですもの。もちろんそれを支える人間達も、世界観の描写も大事ですが、でもやっぱり主役は絶対的にゴジラとコング。正直それ以外の大体の事は、目を瞑る。大体の、事は笑。
まぁそれを踏まえても、「??」となる箇所が全くなかったかと言われると、全然あったんだけども……。
まぁいいよいいよ、ドラマパートの細かい所は正直あんまりよく覚えてないし笑。
という事で、ちょっと褒めてるんだかディスってるんだか分からない感じになりましたが、総合的に言えば、2大怪獣のガチンコバトルシーンは、本当に本当に、素晴らしかったです!
それぞれの主役達に見せ場があり、人智など軽く超えた壮大な戦いが繰り広げられます。
このバトルシーンだけでも、俄然観る価値ありです。
きっとゴジラ&コングのファンでなくても、魅入ってしまう事でしょう。
この物語では、明確に勝者が描かれています。
是非あなたのその目で、世紀の勝負の行方を確かめてください!
ゴジラvsコングのネタバレありレビュー
はい、ここからは、ネタバレ全開でいきますよー!
つい先ほど是非あなたの目でとか言いましたが、ばりばりネタバレしますよー!
結末知りたくない方、ネタバレ嫌な方、引き返すなら今です。
良いですね?いきますよ?
なんと……
ゴジラの勝ちーーーー!!!!
映画公開前からの情報で、「バトルに引き分けはない。きっちり勝者を決める」との制作陣のお言葉があったんですよ。それを知った、私を含め多くの日本サイドのお友達は、思った筈です。
「あ、これゴジラ◯ぬわ」
なぜならば、この戦いは日本の象徴とアメリカの象徴の、誇り高き闘いだから。
『ゴジラvsコング』は、アメリカはハリウッドの大作であり、制作陣をはじめアメリカの方々がいくらゴジラを愛してくれていようと、アメリカの誇りであるコングを敗者にする事は多分出来ないし、しないだろう、と。
実際のところ私は、バトルの行末は、ギリギリまでゴジラ優勢のまま、充分見せ場を与えられた後、最後の最後でコングが逆転するだろう、という安易な予想を立てていました。
なんならゴジラはもう負けてもいいから、死なずに生き延びてくれればそれでいいから、くらいの諦めの気持ちでいたのです。
しかし蓋を開けてみたら、まぁどうした事でしょう。
完璧なるゴジラの勝利!!
激しい闘いの末、ゴジラはコングをなぎ倒し、胸板を踏み付け、彼の顔に自分の顔を最大限近付け、力を見せつける様な勝利の大咆哮。コングは力なく咆哮し返すが、どちからが勝者かは、もはや一目瞭然。
さらに、コングは瀕死状態に陥ったものの、最終的にゴジラがコングにとどめを刺さなかった事も、より勝者感を醸し出す事となりました。
ゴジラは王者の風格相応しく、負けた相手に必要以上の無益な殺生はしなかったのです。このシーン、コングが自分が負けた上で、とどめをさされなかった事へのなんとも言えない複雑な表情をしていて、これはゴジラには表現出来ない良い表情だなぁと。コングさん、役者でした。
それにしてもこのバトルの結末は、予想を裏切る展開で、なんとも嬉しい誤算でした。
なんでも、設定上ゴジラとコングの戦闘力を比べると、人間に近い頭脳を持ったコングの『武器を使った知能戦』を考慮しても、結果はゴジラの方に軍配が上がるんだそうです。
身長体重共に最大級、硬い皮膚に覆われ打たれ強く、一撃必殺の飛び道具まで完備、まさに"破壊神"として完璧な存在で生まれた怪獣王ゴジラ。
片やコングは超ド級ではあるけれど、身体の造りや強度はあくまで霊長類の延長線上。心優しい人類の"守護神"は、あくまで生物としての王。知能や身体能力を駆使した戦いは流石だが、人智を超えた破壊神には一歩及ばなかったのです。
とは言え、ゴジラとここまで渡り合える生物は、地球上におそらくコングをおいて他にはいないでしょう。前作に登場したゴジラの永遠のライバル、最強宇宙怪獣キングギドラ(モンスターゼロ)ですら、善戦はしたものの、ゴジラと対等かと言われると、やはり総合的に見て、ゴジラの方が強く見えました。
古来よりゴジラ族とコング族はお互いに争い勝ち負けを繰り返してきた訳ですが、もしかしたらコング族は、ゴジラに対して1対1では不利だと分かっていて、対ゴジラ武器を作ったり多数で徒党を組んだりして、知恵を活かしてゴジラと渡り合って来たのかもしれません。
或いは今のコングがまだ成長途中で、これからもっと成熟して強くなるのかもしれませんが、どちらにしても今回のタイマンにおいてキングコングの善戦っぷりは素晴らしく、手に汗握る名勝負でありました。
そもそも私は基本的にゴジラの大ファンでこの映画を観ているので、もちろんゴジラを応援しているのですが、気付くとやたら人間くさいコングにも負けて欲しくない、頑張って欲しいと応援してしまっている自分に気付きました。
浮気ってこうやって始まる。
それはさておき、ゴジラとコングの激闘の決着がつき、そこでストーリーは一旦終わりを迎えたかと思いきや、物語は真のクライマックスへと突き進んでいきます……!
なんと、小栗旬演じるレンの造ったメカゴジラ(こちら数々のヒントはあれど、今回の目玉のサプライズの1つでした)が暴走し、コングとの激闘で疲弊しきったゴジラに襲い掛かってきたのです!
本来ゴジラが100%の力で戦えば、メカゴジラにも普通に勝てるらしいのですが、今のゴジラはコングとの激闘により疲労困憊、とてもまともに戦える状態ではありません。
一方のメカゴジラは、キングギドラの骨から造られているのですが、そのギドラの意思が覚醒、レンの制御化から暴走し復讐する気満々。もはや『絶対ゴジラやっつけるマン』になっています。
戦いは傷付いたゴジラ劣勢、メカゴジラ圧倒的有力な状況で進みます。
怪獣王ゴジラがまさかのピンチに陥った時、彼を助けたのは……
そう
もう1体の王
キングコングーーーー!!!
こんなアツイ展開あります?
まぁメカゴジラという第3勢力が出て来た時点で2対1の構図は若干予想出来たものの、やはりつい先程までボッコボコにやられた相手を助けるコングの漢気に痺れますし(これはコングと唯一会話の出来る少女、ジアちゃんの説得も大きいですが)間一髪助けられ「オマエ……」という顔をしたゴジラにもなんとも言えず萌えるのです。
エモい、エモいですお二方!!
ゴジラとコングの共闘により、メカゴジラは劣勢に追い込まれ、最終的にはコングの持った古代の武器である斧に、ゴジラがブレスでパワーを注ぎ込み、コングがメカゴジラをメッタメタに破壊するという激アツ展開で、無事メカゴジラに勝利!
私は機龍シリーズが好でメカゴジラのファンでもあるので、メカゴジラが2体の王にフルボッコされた時はちょっとだけ複雑な気持ちになりましたが、まぁ今回のメカゴジラはあんまりタイプじゃないし(全体的にほっそりしてて、重厚感があまりないタイプ)、なんか邪悪な顔してるからいっか……ってなりました。
そして激闘を終え、ゴジラは海へ、コングは自身を含む巨大怪獣達の真の故郷、地下空洞世界へ帰って行きます。
その別れ際の2体の表情が、言葉がない分また格別!
見事共闘を果たしたものの、古来から王の座を巡り、幾度となく争い合って来た種族同士。
1度は完全に敗北したゴジラに対し、神妙な面持ちのコング。
1度は立ち上がれないまでに倒した筈が、いつの間にか人間達の助力により復活してきたコングに、再び攻撃を加える事なく、踵を返し海へ帰っていくゴジラ。
それは、今まで決して相容れる事のなかった双方に、僅かなリスペクトと絆が生まれた瞬間だったのか、はたまた、それは人間側の都合の良い幻想なのか……。
真実は分からぬまま、ゴジラは地上の王として、コングは地下世界の王としてそれぞれ君臨し、映画は幕を閉じました。
まとめ
映像の迫力は間違いなく素晴らしかった今作品。
勝負の行方も、お互いの国の象徴をぶつけ合わせた結末としては、双方を上手く立てた、素晴らしい終わり方だったのではないでしょうか。逆にこれ以上どちらかに肩入れしてしまうと、どちらかに主役が偏ってしまう。
怪獣同士のバトルとして、これが最善だなと思わせてくれる、バランスの取れた良い結末だったと思います。
あとは人間ドラマパートがもう少し詰められていたら、間違いなく傑作になっていたと思うので、そこだけは少し残念ですね。
例えば話題になった小栗旬の出演シーン、前作まで登場していた【芹沢猪四郎(渡辺謙)の息子】という、重要かつおいしいポジションでありながら、結構ばっさりカットされてしまった様で、その存在自体さして掘り下げられず、よく分からないまま出番を終えてしまっていたり。
日本人としての贔屓目もありますが、彼のキャラをもうちょっと丁寧に描けていれば、より深い人間ドラマパートが作れていたでしょう。あれは勿体なかった。
しかし、そういう惜しい部分を差し置いても、怪獣パートだけでも十分良作である事は、間違いはありません。
願わくば、また2体の王の共闘が観たいなぁと。
日本のゴジラだって、最初は敵で出てきた怪獣達が気付いたらワイワイ仲間に加わっていって、一丸となって大きな敵(主に宇宙人&キングギドラ)と戦った訳ですから。
もうこの際、キングギドラにはメカキングギドラとなって復活していただいて(なんだか映画でもそんな様な案もあったとかなかったとか。ハリウッド版メカキングギドラ、観てみたいですよね)、ゴジラ&コングの地球同盟軍と、よく分からない宇宙の彼方からやって来ためちゃくちゃ強い敵が戦うみたいなヤツ、やって欲しい!!
このご時世で公開延期もあり、日本では思ったより興行成績が上がらないまま公開を終えてしまった今作ですが、やはり日本でのゴジラをはじめとした怪獣人気はまだまだ根強いです。
ネットなどを見ていても、今も昔も熱烈なファン達が、ゴジラや、ゴジラを取り巻くもの、ゴジラを愛してくれる全てのものを守ろう、支えようとしているのが、熱意としてひしひしと伝わってくるのです。
私もいちファンとして、とても小さい力ではありますが、その熱を絶やさず、どんな形であれ、これからもゴジラやその周りのものたちを応援し続けていきたいと思っています。
『ゴジラvsコング』は、そんなゴジラを愛するすべての人へ向けた、「今まで支えてくれてありがとう」というご褒美でもあり、「これからもヨロシク」というメッセージでもありました。
我らが日本の破壊神と、アメリカの守護神。
2体の怪獣王の再びの邂逅を夢見て、この記事を終わりたいと思います。