紫の気まぐれ映画日記

気まぐれに観た映画を気まぐれにぶっちゃけ批評☆

映画『戦場のメリークリスマス』考察レビューまとめ!ただの戦争映画じゃない!映画史に残る名曲と共に紡がれる男たちの美しい物語〈ネタバレ感想あり〉

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ストーリー

1942年、太平洋戦争下のジャワ島。日本軍の捕虜収容所では厳格なエリート士官の所長・ヨノイ大尉、粗暴ながらもどこか憎めない古参のハラ軍曹らのもと、英軍将校ロレンスら数百人の連合軍捕虜が日々を過ごす。ある時、軍律会議に出席したヨノイは、新たに捕虜となった英軍少佐セリアズと出会う。死を覚悟してなお誇りを失わない彼の姿に、ヨノイは不思議と魅せられる。ヨノイは、セリアズを捕虜長へ取り立てようとするが……。

https://www.wowow.co.jp/detail/019504/-/03より引用

 

目次

 

戦場のメリークリスマスを徹底考察レビュー

2023年3月28日、音楽界の巨匠・坂本龍一氏 がこの世を去りました。

彼が生み出した名曲の数々は、音楽に詳しい人でなくても、きっとどこかで耳にした事があるはずです。

ましてや音楽が好きな人や音楽家であれば、皆必ず1度はお世話になった事があるのではないでしょうか?

かく言う私も、実は演奏家の端くれでありまして、坂本氏の曲には随分とお世話になりました。

 

そんな巨匠の訃報を受け、今回私が注目したのは、坂本氏の代表作のひとつ戦場のメリークリスマス

冬の、特に題名通りクリスマスの時期に非常によく耳にするあの曲です。

美しい旋律は力強いけれどどこか切なさや儚さも持ち合わせていて、まさに名曲中の名曲であります。

もちろん私も大好きな曲なので、クリスマスのコンサートなどでは必ずと言っていいほどプログラムに組み込んでいました。

そんなこの曲、名曲が故にひとり歩きしている感もありますが、実はある映画の主題歌でもあります。

それがこの曲と同名の戦場のメリークリスマス(英題:メリークリスマス・ミスターローレンス)』です。

監督は大島渚、日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画で、出演はデヴィット・ボウイ、北野武(ビートたけし)、そして坂本龍一本人も音楽監督兼役者として出演しているという、今では考えられない様な話題性抜群のトンデモ豪華映画なのです。

作品を観たことがない人でも、あまりに有名すぎるビートたけしのラストの顔アップや、若き日の美しい坂本龍一デヴィッド・ボウイのハグシーンなどは、どこかで見た事があるのではないでしょうか。

かく言う私も、映画の存在は知っていたものの、同名曲には散々お世話になっておきながら、この歳まで映画自体を観たことはありませんでした。

この機会に、この名曲が生まれるきっかけとなった映画を観てみようと思い鑑賞した結果、とても興味深く面白い映画だったので、詳しくレビューしていきたいと思います。

ネタバレなし・ネタバレありの両方でレビューしていますので、映画を観た方も、まだ観ていない方も、どうぞお付き合いくださいませ。

 

戦場のメリークリスマスのネタバレなしレビュー

 

不朽の名曲と役者たちの圧倒的オーラが紡ぐ異色の戦争映画

主題歌の秀逸さはさることながら、とにかく役者、特に主演級の方たちが物凄いです。正直何がそんなに物凄かったのか今でもよく分からないのですが、強いて言うならオーラでしょうか……。

演技力云々より、あの一見地味な(戦争映画ではあるけれども戦闘シーンなどは一切登場せず、また登場人物が全員男性で女性は一切出てこない)映画がこれだけ華やかに、見応えあるものに仕上がっているのは、演者たちのオーラのお陰なのではないかと思うのです。

映画自体は、もうぶっちゃけ、色々本当に分かりづらいんですよ笑。

古い映画なので音響等の問題もあるかもしれないし、誰にでも分かりやすい様な、説明付きの親切設計タイプの映画ではないので仕方ないかもしれませんが……まず、主役級の坂本龍一ビートたけしも、セリフの滑舌が悪い悪い!大体のセリフが何言ってるのか分かりません笑。

そして英題にも組み込まれているキーマン、ローレンス役のトム・コンティこの方の役柄が、日本軍の俘虜だけど日本語を話せるので、他の俘虜と日本軍を繋ぐ役割を果たしている、という設定なのですが、ティム氏は元々日本語が喋れないので、日本語のセリフを音として覚えて、喋っていただけだそうです。なるほど、どおりでセリフがハチャメチャに聞き取りづらいわけです笑。

なので初見ではセリフが聞き取れない事も多く、色々と分かりづらいので「」が浮かぶ事も多かったのですが、何故か見終わった後に感じる謎の満足感。映画が持つ説得力とでも言うのでしょうか。

これは何だろうなと考えた結果、役者陣の圧倒的オーラによるゴリ押しだという考えに至りました笑。

そんなオーラ溢れる映画に、名曲『戦場のメリークリスマス』が加わったなら、もうそれは傑作になるに決まっているのです。

ネタバレありレビューでは、この映画の魅力をさらに考察していきたいと思います!

 

 

戦場のメリークリスマスのネタバレありレビュー

 

私は最初、この映画が描くテーマは、戦争している国の者同士の、宗教や倫理観による相反する思想やすれ違い、そしてその中で生まれる刹那的な歩み寄りだと思っていました。

しかし掘っていくと、いやいやそんな事では終わらない。これは厳粛で、しかしながら実はとてもシンプルな、愛情の物語だったのです。

まずは、その物語を紡ぐ2人の日本軍人に焦点を当ててみたいと思います。

 

主演級の日本人2人が体現した男たちのリアルな生き様

 

まずはこの映画の主役のひとり、坂本龍一演じるヨノイ大尉。

言ってしまうと彼、ヨノイはデヴィッド・ボウイ演じる俘虜のひとりジャック・セリアズに禁断の恋をしてしまうわけです。

しかしこの設定、私は映画終盤セリアズがヨノイの暴走を止めようとしてハグ&キスをした途端、感情が高まり過ぎてぶっ倒れるヨノイを見るまで、全然気が付きませんでした!

と言うのも、セリアズって軍人としてもとても優秀だったらしいので、ヨノイがセリアズを必要以上に気にかけるのは、きっと所長として軍事的利用価値を見出したか、よくて友情的なシンパシーを感じて、友達になりたいのかなー?くらいに思って軽く観ていたのです。

なので終盤のヨノイさんの感情大爆発と、セリアズの遺髪をお盗みになる行動には、大変驚かされました。

私の鑑賞力がなかっただけかもしれませんが……いや、初見で前情報もなく、あんなん分かりづらいわ!

しかし後から調べてみると、どうもヨノイは映画の序盤、立ち会った裁判でセリアズをひと目見た瞬間から、もうすでに一目惚れしてしまっていたらしいです。

確かに坂本氏演じるヨノイさん、セリアズの事見てたけどね!なんとなくボーッと俘虜を見てるだけの様にも見え……ゴホンゴホン。まぁそう分かって2回目を観たら、カット割り含め、確かに熱い視線を送ってる……様にも見えなくもないんですけど笑。

その他にも、おそらく普段から自他共に厳しく律する日本軍人のお手本の様なヨノイが、何故か執拗にセリアズを気にかけて贔屓して、徐々に調子を狂わせていく様は確かに描かれているんですよ。

周りの人がヨノイの様子を見て「最近のヨノイおかしくね?」的な会話をしていたり、部下がヨノイの目を覚まさせる為に命を賭けてセリアズを抹殺しようとしたり、まぁ色々エピソードはあるんですが、それらのヨノイご乱心の原因が恋というには、あまりに描写が曖昧で……ヨノイがセリアズに恋をしている決定的なものって、終盤まではほとんど描かれてなかったと思うんですよ。

まぁ全て分かった今となっては、そんな分かりづらい演出も、真面目で不器用なヨノイを上手く表現していたなと思うのですが。

 

これ、もしヨノイ役がもっと上手い役者さんだったら(失礼で申し訳ない笑)、もっと違っていたかもしれません。

本当に上手い役者さんて、目の演技だけで語ったりしますよね。きっと初めて会ったシーンで見事に恋する大尉を演じて、観客に分かりやすく「これは恋の物語だ!」と伝えられたでしょう。

でも果たして、それがこの映画の正解だったのかと言われると、おそらく違うでしょう。このよく分からない漠然とした、観客に判断を委ねる様な演出こそが、この映画の深みになっていると思うのです。

時代を感じさせる様なメイクを施した坂本龍一は若くて美しいけれど、本当に滑舌が悪く、台詞に抑揚もない。しかしそれがかえってリアルなのです。

真摯な所作と、愚直で無骨なセリフ回し。この不器用さが、まるで素人を映したドキュメンタリーを観ているかの様で、説得力が増してさえいるのです。

これ、上手い役者さんでは決して得られなかった効果です。この映画のキャスティングのほとんどは、当初希望していた役者さん達から二転三転してやっと決まったらしいのですが、もしこの効果を狙って計算してキャスティングを最終決定したのだとしたら、大島渚監督ってとんでもない策士ですよ。

 

そしてもうひとり、ハラ軍曹演じるビートたけし

この人はもうね、何というか、独特過ぎて、存在感がとんでもない。出てるオーラが違いますね。

ご存知の通り、たけし氏って、演技というかセリフ回しとか、決して上手くないんですよ。でも、なんですかね、この圧倒的な存在感。

ハラ軍曹は、戦争映画にありがちなザ・粗暴な日本軍人という感じの人物なんですけど、部下に切腹を迫ったかと思うと、自殺では遺族に恩恵が出ないので、その部下を事故死にしてやろうと画策したり、妙に人情味があって。これってたけし氏が得意とする狂気と人情が入り混じった人物像だと思うんですけど、この映画でもそのたけし氏の演技はいかんなく発揮されているわけです。

そして言わずもがな、有名なあのラストシーンですね。終戦のち、翌日に死刑を控えたハラ軍曹が、会いに来てくれたかつての俘虜、ローレンスに向けて発した最後の言葉。たけし氏が一筋の涙を流しながら、ご尊顔どアップで

『めりぃくりすます。めりぃくりすます、みすたーろーれんす!』

と言い放ち、その後、静かにエンドロールに突入する……。

これ。これですよ。

これで泣かない人、いますかね?笑

おそらくたけし氏、撮影当時は全然英語が喋れなかったんだと思います。映画終盤、演じるハラ軍曹は英語を勉強して、少しだけ喋れる様になったという設定なのですが、それまで全然話せなかった英語を、いきなり流暢に話せる訳がありません。でもハラは、人生最期の日に会いたいと思う程の人物、ローレンスと話がしたいが為に、きっと不器用ながら必死に英語を勉強したのでしょう。

なので、会話こそ成り立っていても、どこまでもたどたどしい英語でのセリフ。でもこれが実にリアルで説得力があり、その健気さや不器用さが、我々の涙を誘うのです。

このハラとローレンスとの、決して交わる事のない、けれども時代が時代ならきっと親友なれていたであろう2人の関係も、またひとつの愛情の物語なのでした。

 

名曲により昇華する映画の完成度

主題歌『戦場のメリークリスマス』は、その曲自体が素晴らしいのは勿論、映画内での使われ方も非常に秀逸です。

この曲がまず最初に流れるのは、映画の冒頭。戦争映画と身構えて観始めると、予想通り初っ端からハラ軍曹の粗暴なシーンが描かれますが、そこにいきなりクレジットと共にこの曲が流れるのです。美しくも切ない、あの有名なサビが惜しげもなく流れてくる。冒頭の映画の雰囲気と、なんとまぁミスマッチな事か!

しかしこのミスマッチが、観ている者にこの映画がただの戦争映画ではない事を伝えてくれるのです。暴力だけではなく、おそらく切ない何かが起こるであろう事を予感させてくれるのです。これだけで、映画の入りとしては最高級だし、大成功でしょう。

そしてやはりこの曲が1番輝くのが、前述したハラ軍曹とローレンスの最後の会話のシーン。処刑されそうだったローレンスやセリアズを助ける事となった、いつかのクリスマスの夜の思い出を語る2人。その背後で少しずつ、小さく曲の前奏が流れ始めます。そして、たけし氏の『めりぃくりすます、みすたーろーれんす!』のセリフの後にサビがどーん。そしてエンドロール。

はい秀逸ー。

これで泣かない人、いますかね?(2回目)

 

正直「えっこれで終わり?!」となってもおかしくない唐突な終わり方ですが、バックで流れ始めるイントロで(あ、これそろそろ終わるな)と思わせ、圧倒的に美しいサビが流れた瞬間に(はい終わりー!)と強制的に終わらせる事に成功しています笑。

そしてこの強引さこそが、観客を若干置いてけぼりにしつつも、分かりづらい愛情の物語を完結させる説得力になっているのです。

 

この物語の性質と、曲のバランスと取り入れ方。これらも全て計算通りだとしたら、やっぱり大島渚監督ってとんでもない策士ですよ。

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まとめ

主題歌『戦場のメリークリスマス』が名曲なのは分かりきっていましたが、今回この映画を観て、この曲が何故こんなにも人々に愛され続け、心を動かす様な特別な曲になり得たのかが、改めて分かったような気がします。

よく、良い映画には良い曲が不可欠と言いますね。同じ様に、良い曲には、良い映画、というか良い物語があります。

映画音楽ならその映画の中のストーリーだったり、それを観た人がそれぞれ感じ取った事だったり。映画音楽でない場合は、曲を聴いた人のその時の想いだったり、考えだったり、または思い出だったり。

映画音楽である『戦場のメリークリスマス』は、映画を観る前と観た後では、この曲に感じる美しさのベクトルが確実に変わってきます。

もちろん、この曲の持つ美しい旋律は、映画を知らなくても、この先もずっと色褪せずに、愛され続けるでしょう。

ですが、この曲と共に紡がれた物語を知った今、改めてこの曲を聴いたり弾いたりすると、美しい旋律の奥で、実る事のなかった愛情や絆たちが、ひっそりと輝くのです。それはこの曲の旋律と同じ様に、とても美しいけれど、とても切ない。

そしてそれらを感じるたびに、思わず呟きそうになるのです。

『めりぃくりすます、みすたーろーれんす』

と。

 

 

 

 

 

映画『きっと、うまくいく』考察レビューまとめ!なぜここまで評価が高いのか??

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ストーリー

日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。 抱腹絶倒の学園コメディに見せつつ、行方不明のランチョーを探すミステリー仕立ての“10年後”が同時進行。根底に流れるのは学歴競争。加熱するインドの教育問題に一石を投じ、真に“今を生きる”ことを問いかける万国普遍のテーマ。

 

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00ITGLFVK/ref=atv_dp_share_cu_rより引用

 

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きっと、うまくいくを徹底考察レビュー

2010年インドアカデミー賞で作品賞など計16部門を受賞し、インドで興行収入歴代ナンバーワンを記録した大ヒットヒューマンコメディ・ストーリー。

傑作名高いこの映画、近年のボリウッドブームもあり、すでにご存知の方も多いのでは。

かの私は、お恥ずかしながらボリウッド作品は今作が初鑑賞。

ボリウッド作品の、あの独特な空気感を勝手に警戒して今の今まで手を出して来なかったのですが、この作品を見つけた時、鑑賞した方々のあまりの評価の高さに非常に興味をそそられ、ついに恐る恐る(失礼)鑑賞いたしました。

結果、大・大・大感動。

こんな良い映画だったとは!!かのスティーブン・スピルバーグに「3回も観るほど大好き」と言わしめたのも納得。

この映画の何がそんなに素晴らしかったのか。私の感じた良さを思う存分、ネタバレなし・あり両方でレビューしていきたいと思いますので、まだご覧になってない方も、もうご覧になった方も、どうぞお付き合いください!

 

 

きっと、うまくいくのネタバレなしレビュー

この映画の英題は『3 Idiots』。

意味は「3バカ」で、この題名通り、工科大学に通う学生の3人がドタバタ青春劇を繰り広げます。

邦題である『きっと、うまくいく』は主役の1人で天才肌のランチョーのモットー「Aal Izz Well」(All is wellが訛ったもの)を訳したもの。

このランチョーと、あと2人の主役、ファルハーンとラージューが寮で同室になった事から、天才ゆえに自由で破天荒なランチョーに振り回され感化されながら、やがて3人は親友同士になっていくのです。

この彼らの青春を育むドタバタ劇だけでも充分見応えある今作。しかしこの映画がスゴイのは、ただの青春劇だけとどまらない舞台背景。

彼らが青春を過ごすのは、インド屈指の難関工科大学ICE(ちなみにこれは架空の大学だけど、モデルになった大学があるらしいです)。「3バカ」と言いながら、彼らは狭き門を突破したエリート学生達なのです。

しかし、特にファルハーンとラージューは、それぞれ家庭の事情や自身の葛藤により成績はギリギリ、なかなか順風満帆とはいっていない。

そこへ来て色々やらかすランチョー(困った事にランチョー自身は天才)とつるむもんだから、それは問題も起こすし先生にも諸々目をつけられるってもんです。

そしてこの難関学校が抱える問題は彼ら主役3人だけでなく、在籍している他の生徒や、それ以外の人々をも巻き込んで、ただのコメディーを超え、近年の学歴主義の教育問題を浮き彫りにしていきます。

「バッカだな〜〜ワハハ」と油断して映画を楽しんでいると、突然やってくる「えっ?!」と驚く急展開。まるでジェットコースターに乗っているかの様な怒涛の展開に、きっと驚かされる筈です。

またこの映画の特徴として、現在と過去のストーリーが同時進行する2部形式という所があります。

青春ドタバタ劇は実は過去のお話で、現在では成長しバラバラに過ごしていた面々が、行方不明になったランチョーを探す旅に出る、というミステリー仕立て。

おいおい、どんだけ盛り込むんだよ、見応えありまくりです。

そしてもちろんインドの映画なので、ミュージカルシーンも健在です。ですがこれが、そんなにメインの物語を邪魔していないのも素晴らしい。

(ザ日本人の私からすると、わざわざ敢えて歌って踊らんでも……と思わないでもないですが)前途のようなジェットコースター展開の合間にうまく差し込まれるので、ちょうどいい息抜きになるのです。この辺のバランスも計算の上なら、この映画作った監督凄すぎる。

ちなみに、プチネタバレになるかもしれないのですが、この映画、170分というなかなかの長大作。なんと途中でいきなり「後半へ続く!」的なメッセージがドーンと出てきて、まるで連続ドラマの様に一旦物語が終了します。

私がインド映画初心者過ぎて全く知らなかったのですが、そもそもインド映画は上映時間が長い作品が多いので、基本的に物語の中盤あたりにインターバル(休憩)が設定されているのだとか。

そんな事とはつゆ知らず、急に連ドラ仕立てになった上に、ここはインドの映画館ではないので実際には休憩は挟まれず、何事もないかの様に続きが流れ出したので、私たまらず大爆笑。さすがコメディー映画、なんて新しいボケなんだと笑。

もしインド映画初体験の方がいらっしゃったら、是非中盤のインターバル演出もお楽しみに笑。

 

 

きっと、うまくいくのネタバレありレビュー

さぁ物語の核心に迫っていくネタバレありレビュー!

基本的に映画の内容を知っているのを前提に書いていきますので、まだ観ていない方はチンプンカンプン間違いなしです。そしてネタバレ要・要・要注意!

それではいきまーす。

 

 

さてネタバレなしレビューにも書いた様に、とにかくこの映画、ジェットコースターの様な怒涛の展開が続きます。

「これがこの映画の“山“に違いない!」と思う様な展開が実にいつくも出てくるのですが、とにかくこのコメディの部分とシリアスの部分の、バランスというか、見せ方が素晴らしく上手い。

最初に度肝を抜かれた演出が、主題歌「Aal Izz Well」を歌うミュージカルパートの最後、ジョイ・ロボの自殺現場をラジコンヘリ越しに見つけるシーン。

それまで一貫してコメディ調で、「お決まりの愉快なミュージカル始まったわ〜全校生徒集めたん?すごいお祭り騒ぎじゃん〜」とニヤニヤ観ていた直後の垂直落下展開。ここで、「あ、この映画ただのコメディじゃない」と思い知らされる訳です。

その後も現在パートでランチョーは実はランチョーではなかった?!というミステリーが勃発したかと思うと、ラージューのまさかの飛び降り自殺未遂。

まぁこれは元を正せばラージューはじめ3バカ御一行の素行が非常に悪かったのだけど、そもそもこの大学の最高権力者である学長ヴィールーという人物の、やり方も駄目。圧倒的に悪い。ランチョーを目の敵にするあまり、教育者としてあるまじき選択をラージューに強いるし、そもそもロボの様な自殺者を出しておきながら、生徒を恐喝して従わせようとする姿勢や徹底した成績主義を少しも変えようとしない。アナタ全く懲りていないじゃない!

案の定追い詰められちゃったラージューが窓から飛び降りた時は、思わず声が出ちゃいました。

正直この映画が2部構成で、現在パートにおいてラージューがピンピン元気に生きているのは最初から知っているから、死ぬかもしれないとかそういう心配は全くないにも関わらず、何故かドキドキしてしまうし、絶対目を覚ますと分かっていながら、ランチョーやファルハーンや同級生達が病院に通い、必死に話しかけ励ますシーンには思わず涙が……。なんか悔しい。

 

その後も怒涛の展開が続き、ファルハーンの堅物お父さん説得のシーンや、復活ラージューの面接の勇姿を経て、いよいよ最後の大山場。

一体いくつ山越えさせるの、この映画は。

そもそもの発端は悪学長のせいなんだけども、ラージューの為に試験の答案を盗んだ事がバレてしまった3バカトリオは、ついに退学が言い渡されてしまいました。

その日は道路が浸水するほどの豪雨。そんなタイミングの中悪学長の娘で、ランチョーの彼女(?)ピアの姉でもある妊婦モナがなんと破水。しかし悪天候過ぎて病院に行けない。大大ピンチ。

ほら学長が意地悪するから!言わんこっちゃない、神様は見ている。

しかしそこに荷物をまとめて出て行くつもりの3バカが登場し、病院に搬送するのは諦め、大学内でなんとか出産させる事を決意します。

豪雨で街が停電し絶体絶命、しかし幸いにもここはインド屈指の工科大学。生徒達を総動員し、車のバッテリーから電力を確保し、難産で苦しむモナの為に即席で吸引器を作り、無事赤ちゃんの取り上げに成功します。

父親である悪学長はオロオロするだけで特に役に立たなかった中、ランチョーは見事にリーダーシップを発揮してモナとその子供を救いました。

取り上げた直後は全く泣かなかった赤ちゃん(何故あんなに人形感丸出しだったのかは置いておいて)、ランチョーのお決まり「Aal izz well」の掛け声で産声をあげるシーンも、非常に分かりやすい伏線回収にも関わらずフゥゥ〜!ってなるし、その後の悪学長がランチョーに逆ギレしながらも感謝し、大事にしていたペンを渡して和解するシーンも何故か号泣。

ことごとく製作陣の思惑通りの反応をしている私!

悔しい。

 

そして物語のラストは現代に戻り、ついに卒業以来行方不明だったランチョーのと元へ辿り着いたファルハーン、ラージュー、ピア、チャトルの面々。

映画冒頭からの伏線の、学生時代から一方的にランチョーをライバル視している同級生で、今や会社のNo.2にまで上り詰めて自信満々なチャトルが、喉から手が出るほど契約したがっていた天才発明家『フンスク・ワングル』という人物こそ、ランチョーの本当の姿でした!という大オチ。

あーそう、そうだよね!ちょっと考えれば分かるよね!!

でも私、映画の勢いに押されてなされるがままに見入っていたので、全く気付きませんでした!!

他の方の口コミとか考察読んでると、このオチは分かりやす過ぎてすぐ分かったけど、それを踏まえても爽やかハッピーエンド過ぎて好き。って意見が結構見受けられました。

私は全然考えもしなかったので、終盤その事実に気付いた時点で「オホッ」みたいな変な声が出ましたよ。

確かに分かりやすく王道、誰もが好きであろう展開。大ハッピーエンドとでも言いましょうか。

最後には美しい風景をバックに、慌てて許しを乞いながら追いかけてくるチャトルから、みんながキャッキャウフフと逃げる、という完璧な演出付き。

これをハッピーエンドと言わずして、何をハッピーエンドと言うのでしょう!

 

現代の若者や教育現場の間にある闇をしっかり提起しながらも、あくまでも一大エンターテイメントコメディとしてまとめ上げた今作。

観終わったあとの爽快感は、今まで観た映画のどれにも勝るとも劣らない、むしろ、今までで1番かも……?

170分という長丁場でも、観客を少しも退屈させず、疲れさせないのも素晴らしい。あっという間の3時間弱でした。

 

 

まとめ

とにかく素晴らしい所だらけのこの作品、シナリオが抜群に素晴らしいのはもちろんの事ながら、やはり良い映画には良い俳優さん方が不可欠ですよね。

この映画も、やはり主役のお3方をはじめ、悪学長や美女ピアなど、素晴らしい俳優さん方の熱演のお陰で、より素晴らしい作品になっていると思います。

そして何より驚いたのが、3バカトリオを演じた俳優さん達の年齢!過去の学生パートも現代の社会人パートも全て同じ俳優さんが演じているのですが、なんと撮影当時、3人共30歳を超えていたらしいですよ

特にランチョー役のアーミル・カーンは当時44歳(!)で、役によって肉体改造を徹底するので有名らしいです。

そんなの調べるまで全っったく分からなかったですよ!さすがに本当の大学生とは思ってなかったけど、まさかそんなに年上だったとは……恐るべきトップスター。

 

ちなみにこの映画は、忙しい時や何かしながらの”ながら見"には向いていないと思います。

長いけど、いや長いからこそ、好きなお菓子でも用意して、ゆっくりじっくりと観賞していただくのをお勧めします。

もちろん、途中のインターバルで本当にインターバルするのは大変オススメです笑。

 

最初から敷かれた数々の王道伏線、そして演じる俳優さん達の裏事情(笑)も含めて、

是非この映画をたくさんの人に楽しんで頂きたいです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』考察レビューまとめ!屈指の名作リメイク、その魅力と奇跡

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ストーリー

夏休みのある日。のび太が拾った小さなロケットの中から、手のひらサイズの宇宙人・パピがあらわれる!彼は、宇宙のかなたにある小さな星・ピリカ星の大統領で、反乱軍から逃れるために地球にやってきたという。最初はパピのあまりの小ささに戸惑うドラえもんたちだったが、ひみつ道具“スモールライト”で自分たちも小さくなって一緒に遊ぶうち、次第に仲良くなっていく。ところが、パピを追って地球にやってきたクジラ型の宇宙戦艦が、パピをとらえるためにドラえもんのび太たちを攻撃。みんなを巻き込んでしまったことに責任を感じたパピは、ひとり反乱軍に立ち向かおうとするが……。
大切な友だちと、その故郷を守るため、ドラえもんたちはピリカ星へと出発する!!

 

https://www.toho.co.jp/movie/lineup/doraemon2021.htmlより引用

 

目次

 

宇宙小戦争2021を徹底考察レビュー

今作は、1985年に公開された、ドラえもんの大長編シリーズの第6作「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争」のリメイク作品です。

当初は2021年3月に公開予定でしたが、新型コロナウィルスの影響を受け、1年間公開が延期されました。なのでリメイク版の名前も「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」のままですね。

 

さて、新体制のドラえもんになってからも、何作も旧大長編のリメイクが公開されてきましたが、今回は数ある大長編原作の中でも屈指の名作と名高い、「宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)」が待望のリメイクで登場です!

近年ドラえもん作品はとにかく作画のクオリティが高く、特に映画となるとその気合いの入り様は凄まじいので、リアルであり、またドラえもんらしさを損なわない暖かさもある、不思議な映像美を存分に堪能出来ます。

今回の映画は、題名からも分かる様に宇宙をまたに掛けた壮大なSFストーリーであるため、映画館の大きなスクリーンと音響で観るにはピッタリ!

実際今作の出来は素晴らしく、映像だけで言えば歴代映画の中でも1位と言って過言ではない出来だったと思います。

今回もネタバレあり、なしの両方で感想・考察を綴っていきたいと思いますので、是非是非最後までお付き合いくださいませ。

 

 

宇宙小戦争2021のネタバレなしレビュー

私は、何を隠そうドラえもんの大ファンです。今までの大長編映画シリーズは、旧作から今回の新作まで、全41作の全てを観ております。

あまりにも有名なドラえもんシリーズですが、まだ映画をご覧になっていない方の中には、旧作シリーズのファンゆえに新作シリーズを観ていない方や、子供向けコンテンツと遠慮してる方も多いと思います。

ここでは、そんなまだ映画を観ていない方に、是非映画を観て貰えるよう、本筋のネタバレなしで、特にオススメしたい箇所をレビュー(というかもはやプレゼン)していきたいと思います!

 

とにかく映像美が凄い!

先程も書きましたが、今作の見どころはなんといっても迫力ある映像、バトルやアクションシーン!

皆さんは、『板野サーカス』という言葉をご存知でしょうか。

「超時間要塞マクロス」シリーズなどのミサイルが飛び交う戦闘シーンで見られる、“高速で動く物体を、高速で動くカメラが追う”様な映像演出の事であります。

今回、この『板野サーカス』ばりの迫力あるバトルシーンが、ドラえもんの映画で観られるのです!

バトルシーンだけ観たら、きっとこれがドラえもんの映画だとは誰も思わないんじゃないでしょうか。それくらい、今作のバトル・アクションシーンは気合いが入りまくっておりました。これだけでも、映画館で観る価値アリアリです!

またオープニングでは、スネ夫宅でドラえもん達がミニチュア特撮の撮影をしているシーンが出てくるのですが、その時に映るジオラマや、パピの故郷ピリカ星の街並みなどは、実際にミニチュアを制作して、それをアニメーションに合成しているんだとか!しっかりアニメーションなんだけど妙にリアルな質感は、観ていてとても不思議な感覚になります。

そして、そんな素晴らしい映像を背景に、今回メインキャラとして出てくるパピというキャラクターは、手のひらに乗ってしまう程の小さな宇宙人。このパピから見た時の、のび太達地球人の大きさの見せ方や、逆にのび太達から見たパピの小ささの対比など、カメラワークもすごく上手い!その辺りの映像技術も大注目ポイントです。

 

 

宇宙小戦争2021のネタバレありレビュー

さぁ、ここからはネタバレありでどんどん感想・考察書いていきます!

ネタバレしたくない方、まだ映画を観てない方は、要注意でご覧になってくださいね!

 

旧映画「宇宙小戦争1985」との違い

リメイク作品といえば、旧作とどこを変えてくるのか、どこまで改変するのかが1番気になるところですよね!

このレビューを書くにあたって、旧作の「宇宙小戦争1985」も鑑賞し直しました。新旧ともに全体的に大まかなストーリーラインは変わらないものの、新作にはかなり大胆に改変された部分があったので、印象的だった所をいくつかご紹介したいと思います。

 

1. オープニングの演出

ここ最近では珍しくないですが、のび太の「ドラえもーーーん!!」の掛け声と共に始まるオープニング曲はナシ。代わりに、ネタバレなしレビューでも書いた、リアルなミニチュア撮影の様子をバックに、往年の特撮ムービーを思わせる様なフォントの縦書きのクレジット。

そしてその撮影した動画を出来杉くんがパソコンで編集しているのですが、別撮りで水槽に液体を流し込み回転させる事で爆発雲を作り出し、切り取って撮影した映像に合成。現代らしく見事な合成技術で本物と見紛う映像を作り上げたりして、これがオープニングとしてサラッと流して見せてくれるものだから、「(実際には知っているにも関わらず)これから何が起こるんだろう!」と一気に引き込まれる、非常にワクワクする素晴らしいオープニングとなっていました。

 

2.  姉ピイナの存在と、パピの行動

旧作では、パピは優秀ゆえになんでも1人でこなしてしまう天涯孤独の少年大統領、という立ち位置でしたが、今回の映画には、良き理解者であり唯一の家族であるお姉さん、ピイナというキャラが登場します。映画冒頭でパピを逃がし、自身はピシアに捕まりずっとピリカ星にいるので、そこまで出番がある訳ではないのですが、このピイナの存在が、後々響いてくる事になります。

旧作ではストーリーの中盤で、パピは人質となったしずかちゃんを助ける為にピシアに捕まり、そのままピリカ星に連行されてしまいますが、今作ではなんとロコロコが一足早く登場し、ロコロコと共にのび太達が改造したラジコン戦車で助けに来ます。

その時のパピとしずかちゃんを守る戦車隊のカッコ良さときたらもう!ここだけでカッコよすぎてちょっと涙出そうでした。

そんな訳で、パピを無事奪還してしまったので、あれ、ピリカ星にはいつどうやって行くの、となっていた所で、姉ピイナの登場!ピシア長官のドラコルルから連絡が入り、姉を処刑されたくなかったらお前からピリカ星に来て、親玉独裁者のギルモアの戴冠式に出ろ、と脅してくる訳です。なーるほど。

これで晴れて皆でピリカ星に向かう事になるのですが、ピリカ星に向かう途中の宇宙船の中で、旧作にはなかったパピとのび太達の交流が描かれる事になります。旧作ではパピはあっという間に誘拐されちゃって、その後処刑シーンまでほとんど会話もなかったですからね。ここは良い改変だと思いました。

特に良かったのが、スネ夫の「怖いよ嫌だよ」のウジウジをパピが感じ取って、スネ夫の部屋を直接尋ねるシーン。この後に続く、ドラえもんシリーズ中、1番であろうスネ夫の見せ場をより輝かせる良いシーンでした。

スネ夫って、スネ夫なりに怖くてもやらなきゃいけない事は分かっているのですが、やっぱり怖いもんは怖い。いや、そりゃそうだよね。きみ達小学生でしょ。スネ夫の反応は1ミリも間違ってないよ笑。

子供の頃に観てた時はスネ夫のウジウジをイラッとして観ていたけど、大人になって観てみると、むしろスネ夫以外の子達が良く言えば勇敢だけど、怖いもの知らず過ぎてヒヤヒヤするよね笑。

そして自由同盟軍と合流した後で、結局単独行動してピシアに捕まったパピは、ギルモアの戴冠式で強要されたスピーチを利用して、国民に向かって独裁者に立ち向かう勇気を持つ大切さを説きます。旧作では法廷でギルモアに対してのみ発したスピーチを、敢えて捕まる事で国民に聞かせたパピの作戦と、それによって立ち上がる国民達をより細かく描写した事、ここも良い改変でした。

そして全てが解決した後、のび太達がピリカ星の人々に表彰される中、ピイナとパピは一瞬会場から抜け出します。そこで今までの緊張の糸が切れたのか、パピはピイナの腕の中で初めて泣くのです。8歳で大学を卒業して、大統領にまで選ばれたパピですが、本当はまだまだ小さな男の子。この辺りのパピの人物像の掘り下げにも、ピイナという新キャラがひと役買っていましたね。

 

3. スネ夫の見せ場の圧倒的カッコよさ

旧作新作ともに、「宇宙小戦争」といえばスネ夫が最も輝く作品。もはや唯一のスネ夫回と言ってもいい。今回、このスネ夫の見せ場である、捨て身でしずかちゃんを庇うシーンとその後のスネ夫無双が、ほんっと〜にカッコよく描かれていました!

そもそもラジコン戦車が無双するほど強くなったのは、戦いに出るのは怖くても、ラジコン整備が得意なスネ夫が「きっと自分にしか出来ない事がある!」と寝る間を惜しんで整備し続けたお陰でもあるし、いざ敵が攻めてきたら逃げてはいけないと分かっていてもやっぱり怖くて怖くて、ついにはしずかちゃんにも置いていかれる中、勇気を振り絞って出撃して、さらにそれだけ怖がってたのに、しずかちゃんの為に身を呈して敵から庇うーーーもうスネ夫100点じゃない?!

そしてその後、自分の整備したラジコンが最強強度を誇る無敵戦車になったと分かった後の、自信を取り戻したスネ夫の戦車無双たるや!!元々操縦スペックの高いスネ夫が、その才能を遺憾なく発揮して敵を撃ち落としていくのは、観ていて本当に涙が出ました。このシーンは是非全人類に観ていただきたい。

ここに関しては完全に旧作を超えてました。ありがとう制作陣!!

 

4. 挿入歌、エンディング

さて、今までは良かった改変を書いてきましたが、ここでちょっとだけ残念だったなと思った箇所を。

旧作の映画を名作たらしめた要因の1つに、“音楽の力”というものがあったと思うんですよね。特に武田鉄矢が歌う主題歌の「少年期」が素晴らし過ぎたというのもあると思うんですが、やっぱり「宇宙小戦争」=「少年期」という印象が強い。

戦争に参加しているというシチュエーションにも関わらず、どこか冒険の延長線の様に構えているのび太達ですが、この独特の哀愁漂う「少年期」が流れる事によって、セリフがなくても、戦争に対する哀しみや虚しさみたいな物を上手く表現していたと思うんです。

今回の新作では曲が一新、主題歌にはOfficial髭男dismによる「Universe」、挿入歌には(どこか「少年期」を思わせる様な)ビリー・バンバンの「ココロありがとう」が起用されています。これらも決して悪い訳ではなく、むしろ普通に良い曲なのですが、どうしてもどこかでもう1度「少年期」を期待してしまう自分がいました。もし、ほんの1シーンでも、「少年期」のカバーか、メロディーだけでも流してくれていたら、それだけで今作の評価は数十倍にも膨れ上がっていたでしょうね。これは完全に、旧作を知っている大人ならではのワガママなのだと思いますが……。

 

5. その他の違い

今回ご紹介した改変以外にも、最強の敵長官ドラコルルがより思慮深く潔い人物として描かれていたり、終盤ドラコルルによるスモールライトおとり作戦が追加され、のび太くんだけが逃げ延びて漢気を見せる見せ場があったり、その他諸々の細かい演出など違いはたくさんありましたが、書き出していくとキリがないので、是非皆さんも旧作と新作を見比べて、良かった所やそうでなかった所を楽しんで頂けたらと思います!

 

 

この時期にこの内容の映画が公開された偶然

これは完全に偶然だとは思うのですが、1年の公開延期を経て、今このタイミングで「宇宙小戦争2021」が公開された事、奇しくも“パピ達自由を求めて立ち上がる国民”と、“独裁者として侵略を続けるピシア軍”という構図や、原作にもある侵略軍に向かって出撃するしずかちゃんの「このまま独裁者に負けちゃうなんてみじめじゃない!やれるだけのことをやるしかないわ」という印象的なセリフなど、今のウクライナとロシアの情勢に見事に重なる形となってしまいました。

ドラえもんの「宇宙小戦争」では、国内での自由軍と独裁軍との内戦を描いており、今のウクライナ・ロシアの様な国を跨いだ問題ではないし、もちろんドラえもんはフィクションであり、強いメッセージ性のあるアニメであっても、あくまで娯楽の一種です。対して今世界で現実に起きているのは本物の戦争・戦闘であるので、決して同じ様に扱うものではないですが、それでも今回「宇宙小戦争2021」を観ながら、何かを重ね合わせずにはいられませんでした。

 

きっと制作陣はおろか、原作者の藤子・F・不二雄先生ですら、まさか今こんな状勢になるとは思ってもいなかったと思うので、それでもこのタイミングで公開に踏み切ってくれた事、そして偶然だとしても、この時期にこの映画を我々や子供達が観れるという事に、何か不思議な力を感じてしまいます。

去年の時点で公開されていたら、おそらく単純に楽しい冒険SF映画、となっていたのでしょうが、今回ばかりは、それだけではない、何かを感じざるを得ない映画体験となりました。

(ちなみにこれも完全に偶然でしょうが、パピの胸のペンダントの配色が、ウクライナの国旗の配色を逆にしたものとなっていますね。これは旧作からのデザインなので、つくづく不思議な偶然です。)

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まとめ

総合して、今回の映画の出来は素晴らしく、とても興味深く鑑賞する事が出来ました。

いちドラえもん作品ファンとして、そして今この時期だからこそ、是非観ていただきたい「宇宙小戦争2021」。

旧作を知る方も、初めて観る方も、きっと何かしら、心に響くものがあるはずです。

 

映画『ゴジラvs.コング』徹底考察レビューまとめ!日本の象徴とアメリカの象徴の誇り高き激突!その勝負の結末とは?!<ネタバレ感想あり>

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ストーリー

モンスターの戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。
人類が各地の再建を計る中、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務に挑み、巨大怪獣の故郷<ルーツ>の手がかりを掴もうとする。そんな中、ゴジラが深海の暗闇からその姿を現し、フロリダにあるハイテク企業エイペックス社を襲撃、世界を再び危機へと陥れていく。ゴジラ怒りの原因は何なのか。
エイペックス社CEOのウォルター・シモンズ(デミアン・ビチル)はゴジラの脅威を訴える。モナークとエイペックスは対抗措置として、ネイサン・リンド博士(アレキサンダー・スカルスガルド)やアイリーン博士(レベッカ・ホール)のチームを中心に、コングを髑髏島<スカルアイランド>から連れ出し、怪獣のルーツとなる場所を探ろうとする。
人類の生き残りをかけた争いは、ゴジラ対コングという最強対決を引き起こし、人々は史上最大の激突を目にすることとなる。
故郷を求めるコングと唯一心を通わせる少女ジア。一方、ゴジラを信じ、その真意を探ろうとするマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)と級友のジョシュ(ジュリアン・デニソン)、そしてエイペックスの陰謀説を唱えるバーニー(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は行動を共にゴジラを追う。
人類になす術はないのか―。
エイペックスの研究員で故芹沢猪四郎博士の息子である芹沢蓮(小栗旬)の秘めた想いや目的とは?
怪獣を取り巻く人間たちの思惑が錯綜する。ゴジラとコング、彼らは人類の味方か、人類の脅威か。自然界最強の力の衝突する、地球の存亡を委ねた壮大な戦いが始まった。
彼らはなぜ戦うのか―。
果たして、この頂上決戦の勝者は―。

https://godzilla-movie.jp/gvsk/sp/story.htmlより引用

 

目次

 

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ゴジラvsコングを徹底考察レビュー

ずっとレビューを書きたかった『ゴジラvs.コング』!!

公開されてから割と早い段階で鑑賞していたにも関わらず、今まで記事を書けずにいました。なぜならゴジラは、この世界中で1番好きなキャラクターと言ってもいいくらい、子供の頃から◯十年間ずっと大好きな存在。もはや片想いに近いような笑。

そんな大好きなゴジラのハリウッド版超大作、好きが過ぎて逆に記事に着手できず今の今まで来てしまったのですが、いよいよ公開も終了した今日この頃、ついに自分を奮い立たせ、このレビューを書き始めました。

書くからには忖度なしに、良かった所も悪かった所も、全て徹底的に評価していきます!

なおネタバレなしとネタバレあり、両方レビューいたしましたので、もう既に観られた方も、レンタル開始を心待ちにしている方も、最後までお付き合いいただければ幸いです!

 

 

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ゴジラvsコングのネタバレなしレビュー

この『ゴジラvsコング』は、モンスターヴァースシリーズの第4作目にして、日本が誇るキャラクターであるゴジラが出演する最後の作品と言われております(この辺りは今後の流れ次第では変わる可能性もあり?個人的には続いて欲しい)。

そしてそのゴジラの有終の美を飾るのに相応しい対戦相手として、アメリカが誇るキャラクターであるキングコングとの夢のマッチが実現しているのです。

 

さて、これはあくまで私の私見になりますが、この手の【巨大生物が所狭しと大暴れ!大立ち回りをとくとご覧あれ!】系の映画は、とにかく派手に、ドカーン!バーン!とやるのが1番であります。

ちっちゃい事〜は気にすんなッそれワカ◯◯ワカ◯◯🎶

まさにコレに尽きます。

 

今回のこの『ゴジラvsコング』、その点においては素晴らしい。まさに理想通り。

「え?待ってそんな事ある?」「え?待ってなんでそんな事になってんの?」

なんて、そんなナンセンスな事は考えちゃあいけません!

いいんです!これでいいんです!

だってゴジラをはじめ、キングコングとか、宇宙怪獣(モンスターヴァースの世界では怪獣をタイタンと呼びますが、敢えて怪獣と呼ばせていただきます)とか、普通に闊歩してる世界です。我々の小さな常識なんて、通用しなくて当たり前なんです!

 

そもそもメインを張る主演怪獣が1体の場合は、怪獣の描写の他に、背景描写や人間パートその他をじっくりと描く余裕があるでしょうが(ギャレゴジなんかはその余裕をもってして、なかなかゴジラを映さない演出で話題になりましたね)、今回の様に主役級のキャラクターが2体、それも対等に出てくるとなると、その2体の描写に大概の時間が割かれるので、本来他の説明や人間ドラマパートなんて、描く時間はほとんど無いはずなんですよ。

今回のこの『ゴジラvsコング』でも、シリーズ化されているからこその続投している登場人物達の物語の他に、新たに登場したキャラクター達、新たに追加された設定など、怪獣パート以外にもかなり頑張って盛り込まれていたけれど、正直、その全てを2時間弱で満足に描き切る事はほぼ不可能。ていうか絶対無理。

だからと言って、シリーズならではの繋がりを丸投げしてやらないでもなく、怪獣達の見せ場を削るでもなく、本当にギリギリまで、主役の怪獣2体と、その他のドラマとのバランスに悩んだんだろうなぁ、頑張ったんだろうなぁ、というのが素直な印象です。

だからね、もうちょっとやそっとの無理矢理感は、まぁ大目に見ようじゃないの。

こちとら大好きな怪獣達を観に行ってるんですもの。もちろんそれを支える人間達も、世界観の描写も大事ですが、でもやっぱり主役は絶対的にゴジラとコング。正直それ以外の大体の事は、目を瞑る。大体の、事は笑。

まぁそれを踏まえても、「??」となる箇所が全くなかったかと言われると、全然あったんだけども……。

まぁいいよいいよ、ドラマパートの細かい所は正直あんまりよく覚えてないし笑。

 

という事で、ちょっと褒めてるんだかディスってるんだか分からない感じになりましたが、総合的に言えば、2大怪獣のガチンコバトルシーンは、本当に本当に、素晴らしかったです!

それぞれの主役達に見せ場があり、人智など軽く超えた壮大な戦いが繰り広げられます。

このバトルシーンだけでも、俄然観る価値ありです。

きっとゴジラ&コングのファンでなくても、魅入ってしまう事でしょう。

日本のゴジラと、アメリカのキングコング、勝つのはどちらか。

この物語では、明確に勝者が描かれています。

是非あなたのその目で、世紀の勝負の行方を確かめてください!

 

 

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ゴジラvsコングのネタバレありレビュー

はい、ここからは、ネタバレ全開でいきますよー!

つい先ほど是非あなたの目でとか言いましたが、ばりばりネタバレしますよー!

結末知りたくない方、ネタバレ嫌な方、引き返すなら今です。

 

良いですね?いきますよ?

 

ゴジラキングコングのタイマン勝負……

 

なんと……

 

ゴジラの勝ちーーーー!!!!

 

映画公開前からの情報で、「バトルに引き分けはない。きっちり勝者を決める」との制作陣のお言葉があったんですよ。それを知った、私を含め多くの日本サイドのお友達は、思った筈です。

 

「あ、これゴジラ◯ぬわ」

 

なぜならば、この戦いは日本の象徴とアメリカの象徴の、誇り高き闘いだから。

ゴジラvsコング』は、アメリカはハリウッドの大作であり、制作陣をはじめアメリカの方々がいくらゴジラを愛してくれていようと、アメリカの誇りであるコングを敗者にする事は多分出来ないし、しないだろう、と。

実際のところ私は、バトルの行末は、ギリギリまでゴジラ優勢のまま、充分見せ場を与えられた後、最後の最後でコングが逆転するだろう、という安易な予想を立てていました。

なんならゴジラはもう負けてもいいから、死なずに生き延びてくれればそれでいいから、くらいの諦めの気持ちでいたのです。

 

しかし蓋を開けてみたら、まぁどうした事でしょう。

完璧なるゴジラの勝利!! 

激しい闘いの末、ゴジラはコングをなぎ倒し、胸板を踏み付け、彼の顔に自分の顔を最大限近付け、力を見せつける様な勝利の大咆哮。コングは力なく咆哮し返すが、どちからが勝者かは、もはや一目瞭然。

さらに、コングは瀕死状態に陥ったものの、最終的にゴジラがコングにとどめを刺さなかった事も、より勝者感を醸し出す事となりました。

ゴジラは王者の風格相応しく、負けた相手に必要以上の無益な殺生はしなかったのです。このシーン、コングが自分が負けた上で、とどめをさされなかった事へのなんとも言えない複雑な表情をしていて、これはゴジラには表現出来ない良い表情だなぁと。コングさん、役者でした。

 

それにしてもこのバトルの結末は、予想を裏切る展開で、なんとも嬉しい誤算でした。

なんでも、設定上ゴジラとコングの戦闘力を比べると、人間に近い頭脳を持ったコングの『武器を使った知能戦』を考慮しても、結果はゴジラの方に軍配が上がるんだそうです。

身長体重共に最大級、硬い皮膚に覆われ打たれ強く、一撃必殺の飛び道具まで完備、まさに"破壊神"として完璧な存在で生まれた怪獣王ゴジラ

片やコングは超ド級ではあるけれど、身体の造りや強度はあくまで霊長類の延長線上。心優しい人類の"守護神"は、あくまで生物としての王。知能や身体能力を駆使した戦いは流石だが、人智を超えた破壊神には一歩及ばなかったのです。

とは言え、ゴジラとここまで渡り合える生物は、地球上におそらくコングをおいて他にはいないでしょう。前作に登場したゴジラの永遠のライバル、最強宇宙怪獣キングギドラ(モンスターゼロ)ですら、善戦はしたものの、ゴジラと対等かと言われると、やはり総合的に見て、ゴジラの方が強く見えました。

 

古来よりゴジラ族とコング族はお互いに争い勝ち負けを繰り返してきた訳ですが、もしかしたらコング族は、ゴジラに対して1対1では不利だと分かっていて、対ゴジラ武器を作ったり多数で徒党を組んだりして、知恵を活かしてゴジラと渡り合って来たのかもしれません。

或いは今のコングがまだ成長途中で、これからもっと成熟して強くなるのかもしれませんが、どちらにしても今回のタイマンにおいてキングコングの善戦っぷりは素晴らしく、手に汗握る名勝負でありました。

 

そもそも私は基本的にゴジラの大ファンでこの映画を観ているので、もちろんゴジラを応援しているのですが、気付くとやたら人間くさいコングにも負けて欲しくない、頑張って欲しいと応援してしまっている自分に気付きました。

浮気ってこうやって始まる。

 

それはさておき、ゴジラとコングの激闘の決着がつき、そこでストーリーは一旦終わりを迎えたかと思いきや、物語は真のクライマックスへと突き進んでいきます……!

なんと、小栗旬演じるレンの造ったメカゴジラ(こちら数々のヒントはあれど、今回の目玉のサプライズの1つでした)が暴走し、コングとの激闘で疲弊しきったゴジラに襲い掛かってきたのです!

本来ゴジラが100%の力で戦えば、メカゴジラにも普通に勝てるらしいのですが、今のゴジラはコングとの激闘により疲労困憊、とてもまともに戦える状態ではありません。

一方のメカゴジラは、キングギドラの骨から造られているのですが、そのギドラの意思が覚醒、レンの制御化から暴走し復讐する気満々。もはや『絶対ゴジラやっつけるマン』になっています。

戦いは傷付いたゴジラ劣勢、メカゴジラ圧倒的有力な状況で進みます。

怪獣王ゴジラがまさかのピンチに陥った時、彼を助けたのは……

 

そう

もう1体の王

キングコングーーーー!!!

 

こんなアツイ展開あります?

まぁメカゴジラという第3勢力が出て来た時点で2対1の構図は若干予想出来たものの、やはりつい先程までボッコボコにやられた相手を助けるコングの漢気に痺れますし(これはコングと唯一会話の出来る少女、ジアちゃんの説得も大きいですが)間一髪助けられ「オマエ……」という顔をしたゴジラにもなんとも言えず萌えるのです。

エモい、エモいですお二方!!

ゴジラとコングの共闘により、メカゴジラは劣勢に追い込まれ、最終的にはコングの持った古代の武器である斧に、ゴジラがブレスでパワーを注ぎ込み、コングがメカゴジラをメッタメタに破壊するという激アツ展開で、無事メカゴジラに勝利!

私は機龍シリーズが好でメカゴジラのファンでもあるので、メカゴジラが2体の王にフルボッコされた時はちょっとだけ複雑な気持ちになりましたが、まぁ今回のメカゴジラはあんまりタイプじゃないし(全体的にほっそりしてて、重厚感があまりないタイプ)、なんか邪悪な顔してるからいっか……ってなりました。

 

そして激闘を終え、ゴジラは海へ、コングは自身を含む巨大怪獣達の真の故郷、地下空洞世界へ帰って行きます。

その別れ際の2体の表情が、言葉がない分また格別!

見事共闘を果たしたものの、古来から王の座を巡り、幾度となく争い合って来た種族同士。

1度は完全に敗北したゴジラに対し、神妙な面持ちのコング。

1度は立ち上がれないまでに倒した筈が、いつの間にか人間達の助力により復活してきたコングに、再び攻撃を加える事なく、踵を返し海へ帰っていくゴジラ

それは、今まで決して相容れる事のなかった双方に、僅かなリスペクトと絆が生まれた瞬間だったのか、はたまた、それは人間側の都合の良い幻想なのか……。

真実は分からぬまま、ゴジラは地上の王として、コングは地下世界の王としてそれぞれ君臨し、映画は幕を閉じました。

 

 

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まとめ

映像の迫力は間違いなく素晴らしかった今作品。

勝負の行方も、お互いの国の象徴をぶつけ合わせた結末としては、双方を上手く立てた、素晴らしい終わり方だったのではないでしょうか。逆にこれ以上どちらかに肩入れしてしまうと、どちらかに主役が偏ってしまう。

怪獣同士のバトルとして、これが最善だなと思わせてくれる、バランスの取れた良い結末だったと思います。

あとは人間ドラマパートがもう少し詰められていたら、間違いなく傑作になっていたと思うので、そこだけは少し残念ですね。

例えば話題になった小栗旬の出演シーン、前作まで登場していた【芹沢猪四郎(渡辺謙)の息子】という、重要かつおいしいポジションでありながら、結構ばっさりカットされてしまった様で、その存在自体さして掘り下げられず、よく分からないまま出番を終えてしまっていたり。

日本人としての贔屓目もありますが、彼のキャラをもうちょっと丁寧に描けていれば、より深い人間ドラマパートが作れていたでしょう。あれは勿体なかった。

しかし、そういう惜しい部分を差し置いても、怪獣パートだけでも十分良作である事は、間違いはありません。

 

願わくば、また2体の王の共闘が観たいなぁと。

日本のゴジラだって、最初は敵で出てきた怪獣達が気付いたらワイワイ仲間に加わっていって、一丸となって大きな敵(主に宇宙人&キングギドラ)と戦った訳ですから。

もうこの際、キングギドラにはメカキングギドラとなって復活していただいて(なんだか映画でもそんな様な案もあったとかなかったとか。ハリウッド版メカキングギドラ、観てみたいですよね)、ゴジラ&コングの地球同盟軍と、よく分からない宇宙の彼方からやって来ためちゃくちゃ強い敵が戦うみたいなヤツ、やって欲しい!!

 

このご時世で公開延期もあり、日本では思ったより興行成績が上がらないまま公開を終えてしまった今作ですが、やはり日本でのゴジラをはじめとした怪獣人気はまだまだ根強いです。

ネットなどを見ていても、今も昔も熱烈なファン達が、ゴジラや、ゴジラを取り巻くもの、ゴジラを愛してくれる全てのものを守ろう、支えようとしているのが、熱意としてひしひしと伝わってくるのです。

私もいちファンとして、とても小さい力ではありますが、その熱を絶やさず、どんな形であれ、これからもゴジラやその周りのものたちを応援し続けていきたいと思っています。

 

ゴジラvsコング』は、そんなゴジラを愛するすべての人へ向けた、「今まで支えてくれてありがとう」というご褒美でもあり、「これからもヨロシク」というメッセージでもありました。

 

我らが日本の破壊神と、アメリカの守護神。

2体の怪獣王の再びの邂逅を夢見て、この記事を終わりたいと思います。

ありがとう、ゴジラ!ありがとう、キングコング

 

はじめに

皆さま、はじめまして。

紫と書いて『ゆかり』と申します。

この度、超絶気まぐれ&拙いながら、映画レビューのブログを立ち上げさせて頂く事となりました。

もともと憧れはあったものの、知識ゼロ、文才ゼロ、鑑賞ジャンルの公平性もゼロというゼロ三連星なので、今の今まで二の足を踏みまくり、挑戦出来ずに生きて参りました。

 

しかし、なぜ今回この様な暴挙に出たのか。

 

それは、言わずもがな、どうしてもレビューを書きたい映画を鑑賞してしまったからに他なりません。

それは、ずっとずっと、私【絶賛年齢非公開】が子供の頃から愛してやまない、日本を代表するキャラクターが主演する、待望の超大作映画。

これは、暴挙を押すに充分な案件なのではないか。

そう思った私は、ついに、数々の枷を脱ぎ捨て、このブログを立ち上げる事にしたのです!

 

 

とまぁ、さっそくしょーもない事で文字数を量産しておりますが、すでに皆様お察しの通り、今後私が書き連ねる記事達は、特に役立つ情報が与えられる訳でもなく、専門的な知識が与えられる訳でもなく、ただただ、その時観て、感じた事を、その時のノリに任せて書き連ねるだけのレビューブログです。

 

私一応、事前に諸々リサーチをしておりまして、基本的に映画レビュー系のブログは、才能豊かな方々の巣窟だという事、私ごときが泳ぎ込んで良い海では無い事は、重々承知しております(しかも私はほぼカナヅチ)。

しかしこれから、一体どのくらいの皆さまがこのブログを見てくださるのか全く分かりませんが、常に自分が楽しむ事を忘れず、映画を観て、楽しいと思えた時、心が震えた時、何かをモノ申したい時、映画のジャンルに拘らず、このブログを更新していこうと思います。

もしこのブログを見て、少しでも、その映画について興味を持ってくださる方が居たのなら、きっとそれが1番嬉しい事です。

 

 

 

さてさて、今更やっとながら、軽く自己紹介をさせて頂きます。

 

紫【絶賛年齢非公開

  • お酒をこよなく愛す
  • 激辛商品に目がない
  • ラーメンはこってりCPS
  • 料理は大体ニンニクぶち込めば美味しくなる
  • 海老が好き特に車海老とか伊勢海老つまり単価の高い海老が好き
  • 特技はのび太寝(開始3秒で寝れる)

 

こんな所でしょうか。

後は、追々レビューを重ねるにつれ、披露するものも有りましょう。

 

実際の映画レビューは次回の記事からになります。

別に引きのばす程のもんでもないのですが。

なんとなく、自己紹介で1000文字超えたら気持ち悪いなーと思いつつ、、、1000文字突破してしまいました。

気持ち悪いですね!

ではそろそろお終いにします!

ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

 

願わくば、次の記事でもお会い出来ますように。